
魔法の電話「テアトロフォン」の誕生
現代の私たちが、VRゴーグルとイヤホンで「脳を溶かしている」この技術。その起源は、150年前のフランス・パリにまで遡る。
1881年、電気技師クレマン・アデールが発明した「テアトロフォン」。それは、オペラ座の舞台左右に設置されたマイクから、数キロ離れた博覧会場へ電話線で音を届けるという、当時としては魔法のような装置だった。
脳内に爆誕した「立体的な空間」
聴衆が左右の受話器を耳に当てた瞬間、事件は起きた。 「まるで自分が、オペラ座の最前列に立っているようだ」 左右の耳に届くわずかな音の時間差と音量差が、脳の中に「立体的な空間」を爆誕させたのだ。これが、人類が初めて体験した「バイノーラル」の萌芽である。
私も初めてKU100の音を聴いた時、この150年前の聴衆と同じ衝撃を覚えた。あの『そこに誰かがいる』という感覚の正体は、ここから始まったのだ。
芸術から「脳内侵食」へ
エロでも安眠でもない、純粋な芸術への渇望から生まれたこの技術。だが、ここから「脳内侵食」への長い旅路が始まることになる。
次は、1933年に現れた「謎の生首」の話をしようか。
